やさぐれ学生の株ラボ
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 5.外貨預金の落とし穴

 このサイトを読んでくださっている方は、私が外貨預金や為替証拠金取引など、日本円以外の金利高い通貨へ投資することを推奨している雰囲気を感じていると思います。

 そのとおり、私は外貨への投資に大賛成派です。もちろん金利の面だけでなく、リスク分散の意味合いでも外貨への投資は大いに意義のあるものでしょう。

 最近の投資熱の高まりを受けて、(それ以前からもありましたが)大手都市銀行が
「外貨キャンペーン」なるものを実施していることがよく見られます。やっぱり一般的な人にとってはちょっと不安な外貨預金を行うに当たって、大手の安心感があり、しかも金利が高い、といったことからこれらのキャンペーンにはよく人が集まっているようです。

 今回は、この外貨キャンペーンについてちょっとナナメから見てみましょう。いや、むしろ冷静に見てみましょう。


 某都市銀行が実施している外貨キャンペーンの一つに、

「豪ドル、NZドル特別金利!豪ドル年10%、NZドル年12%!」

 というものがあります。ちょっと見にはかなりステキな商品ですね。では、この商品の詳細を見てみましょう。



  • 金利には税金がかかるため、実質の年利は8%、9.6%となる
 まぁこれはある意味常識なので、どうこう言うつもりはありませんが、必ず留意しておくポイントであることには変わりありません。

  • キャンペーン金利が適用されるのは3ヶ月間のみ
 こんな金利でいつまでも預金をとっていると、銀行も大変です。なので、短期間だけの優遇金利となっています。こっそりと。

  • 為替取引手数料が高い
 大手銀行の為替取引き手数料は往々にして高いです。この銀行では1ドルあたりの手数料は、豪ドル往復5円、NZドル往復5.1円でした。
 (cf. ソニー銀行の場合は豪ドル、NZドル共に往復1円)


 以上の事柄を考慮して、ちょっとシミュレーションしてみましょう。
 仮に豪ドルを1万ドル、1ドル=80円のレート(ちょっと高いかも)として考えます。
 まず、預けるときには片道2.5円の手数料がかかるため、1万ドル買うには

(80+2.5)×10,000=825,000 円

 が必要となります。

 次に、税引き後年8%の金利が得られます。
 簡単のため単利計算とすると(これくらいの金利で短期間ならば複利も単利も大差ないので)、3ヶ月分の金利は2%となりますから、200ドルの金利収入が得られます。よって残高は 
10200 ドル となります

 さて、これを円に戻してみましょう。また片道2.5円の手数料がかかります。
 仮に為替の変動がなく、1ドル=80円のままだとすると…

10,200×(80−2.5)=790,500 円

 あれ?預けたときよりも減ってますね?そりゃ往復5円もの手数料を取られていたら減りますよ〜


 と、こんな具合に、優遇金利に乗せられて預けたものの、元本割れしてしまった!という結果になります。
 ちなみに、元本がそのまま戻ってくるためには…1ドルあたり

825,000÷10,200+2.5=83.38 円

 とならないと元本回収すらできないのです。

 もちろん、そのまま預けておいて外貨普通預金金利をもらい、増えるのを待つ、という手もありますが…

この銀行の豪ドル外貨普通預金金利は 0.5% でした

 そんな金利なら、ネットバンクの円預金で上等です。すでに元本を割れまくったところから、こんな金利で何の意味があるのでしょうね?
 その上為替変動リスクまで背負ってしまっては、リスクのみでリターンなしですよほんとに…


 こんなところでしょうかね?まぁ言いたいところとしては、

外貨預金をするなら、大手銀行ではしない

 といったところです。みなさま、上っ面にだまされないよう、ご注意ください。


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